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夜中の公園

不登校の子どもたちとかかわっていた頃


中1のSくんの保護者から11時過ぎに電話がかかってきた。

「Sくんがまだ帰ってきていない」と

心配する電話だった。


ん〜
こんな時間にSくんはどこに行ったのだろう。

もしかしてあそこかな・・・

車を走らせ30分
Sくんの家からは程近い公園


いた、いた、いた


やっぱりここか



Sくんは
公園に置いてあるコンクリート遊具のトンネルの中で
膝を抱えて座っていた


「Sくん、み〜つけた」

「お〜先生! どうしたの?」

「どうしたのって、お母さんが心配してたよ」

「ふぅ〜ん」


そこから
程よい距離に一緒に膝を抱えて座ること2時間
しかも沈黙


「なんかお腹すいたね、コンビニで肉まん買ってくるね」


近くのコンビニで肉まん2つ買って
あったかいお茶買って


ふたりで食べながら


そこからまた2時間沈黙


雨がポツポツ降り出してきた


Sくんが

「先生、雨降ってきたから帰るわ」

「うん、わかった、送るね。
 お母さんに電話しておくね」



お母さんにこう言った。

「Sくんと今から帰ります。
 今日は何も聞かないで寝かせてあげてください」

と。


Sくんを送った。
Sくんの家は街灯がついていて玄関にも灯りがついていた。

ピンポ〜ン

お母さんが迎えに出てきて
その顔は安心したようだった。

「ありがとうございました」

と会釈をしながらお母さんが言った。

『大丈夫よ、お母さん』と伝わるように
微笑んでアイコンタクト。

そして
「じゃ、Sくん、またね」


ひとこと言って帰路に着いた。




帰宅時間は4時を回っていた。




15年後、Sくんから結婚式の招待状が届いた。


ーMISAー