子育てのころ
非常勤保育士で2歳児クラスの担当として働いていた時期があった。
しばらくして
毎回お昼寝の時間になると決まって泣く子がいることに気づいた。
ハルちゃんだ。。。
担任保育士は
「もう泣くなら廊下に出ていなさい。
寝ているお友だちが起きちゃうでしょ」
と言って
毎回ハルちゃんは廊下に出される。
すると
ハルちゃんの泣き声は、ますます大きくなっていくのだった。
担任保育士はまるで無視をしているかのようで
私はハルちゃんが気になって気になって仕方がなく・・・
そのとき
からだはもうすでに自然と廊下に向かっていて
「まだ眠たくないんだね」と
ハルちゃんに話しかけていたのだ。
ハルちゃんは泣きやまなかった。
なので、ただただハルちゃんの頭をなでていた。
この子は、きっと担任保育士が来てくれるの待っているのかもしれない・・・。
やっときた担任がハルちゃんに話しかけたその言葉は
「もう泣きやんで。
泣くとお部屋に戻れないよ」
と。
次の日もまた次の日も
お昼寝になると、相変わらずハルちゃんは泣き出す。
自分にできることは、ハルちゃんの傍にいて頭をなでること。
ハルちゃんは徐々に泣いている時間が短くなり
私と一緒に部屋に戻れるようになってきた。
部屋に戻るときは
必ず廊下にだす担任を意識して
チラッと顔を見ているのがわかっていた。
「先生、ハルちゃんもう泣いていないので
みんなと一緒にお昼寝しますね」
とあえて担任に声をかけるようにした。
その一瞬、ハルちゃんがつないでいる私の手に力が入って
ギュッと握りしめているのがわかった。
年度末でその保育園を辞めることになっていたので
送別会があったある日
退職者一人ひとりが挨拶をする場面で
私は4月からカウンセラーに戻る旨を伝えた。
会食のとき
担任が寄ってきてこう話しかけられた。
「先生はカウンセラーだったんですね。
いつもハルちゃんに寄り添ってくださっている姿に気づいていました。
子どもたちと遊んでいる時もいつも子どもの気持ちを優先していましたね。
本当にありがたかったです。
もっとたくさん一緒に保育したかったです」
と。
なんだか
いつも怒っていて
上から目線で
子どもの心をないがしろにする先生が
このときは小さく見えた。
そして
先生の心に何かが届いていたことが嬉しかった。
ーMISAー
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