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花ちゃんとの出会い①

花ちゃんは小学校1年生に入学して3日間だけ学校に行ったきり
小学校5年生まで学校に行くことはなかった。

花ちゃんのお母さんが相談に来た。
「6年生は小学校最後の学年。中学からは学校に行ってほしい。」という相談だった。

翌週から家庭訪問を行うことになった。

これが花ちゃんとの出会いで、長い長い1年の始まりになった。


毎週、水曜日の午後1時から2時が家庭訪問の時間だ。
初めての家庭訪問の日、玄関チャイムを鳴らすとお母さんが丁寧に出迎えてくださり
玄関に入るとすぐに2階への階段があって
お母さんが「花子は2階から降りてきていません」と言った。

これが花ちゃんの答えだ。
私とは会いたくないんだな。
では、せめて花ちゃんに挨拶しよう。

「花ちゃん、こんにちは。今日はお母さんとお話しして帰るね」と

まだ見ぬ花ちゃんのいる2期に向かって大きな声で挨拶をした。


それからリビングでお母さんと1時間話をした。
どうして学校に行かなくなったのか
毎日家でどのように過ごしているのか
そんな話をして1時間が過ぎた。

帰り際、玄関で2階の花ちゃんに向かって再び声をかけた。

「花ちゃん、1時間経ったから帰るね。来週またくるね」と。


決めた曜日の決めた時間に必ず会いに行く。
姿が見えなくても挨拶はする。「来たよ」「帰るからね」
相手にとって安全な距離を必ず保つ。

自分に課せられたこの流儀を守って、花ちゃんの気のすむまで続けていく。

朝が来て夜がくることは世界中、誰にも平等に時間が流れていること
花ちゃんのにも花ちゃんの時間の流れがある
花ちゃんにもどんな空の日も窓を開ければ空は見える

どんな夜があっても朝は必ず来る

だから焦らずゆっくり花ちゃんのリズムに合わせていこう、と初日に誓った。


To be continued 

ーMISAー